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アニメ映画『天気の子』ネタバレ有りの考察・解説|物語パターンを覆した快作

2016年の夏、それまで小さめの劇場でニッチなファンを獲得していた新海誠監督が、夏の興業映画として公開した「君の名は。」は老若男女が楽しめる作品として日本映画の歴史に残る大ヒットを記録しました。

普段はアニメを観ない人たちも「君の名は。」を観て新海誠監督を知り、彼の作る作品の美しさや繊細な物語が広く世間に認知されたのではないでしょうか。

あれから約3年、世界中の注目を集めるようになった新海監督の最新作「天気の子」が2019年7月19日に公開されましたので早速、映画館で鑑賞してきました!

この記事ではアニメ映画「天気の子」の鑑賞後の考察や解説をお伝えします。(記事の内容はネタバレを含んでいますので注意ください)

>>天気の子の記事一覧はこちら

天気の子のネタバレ有りのあらすじ

(C)2019「天気の子」製作委員

物語は高校を卒業したばかりの帆高(ほだか)がヒロインの陽菜(ひな)と出会った3年前の夏を思い出す形でスタートします。

3年前の夏、まだ高校1年生だった帆高は実家のある離島から家出をし東京に出てきます。

しかし東京ではまともなアルバイトも見つからず殆どホームレスに近いような生活を送ります。

穂高はマクドナルドで陽菜に優しく接してもらったり、銃を拾ったり東京で色々なことを経験します。

最終的にはフェリーの船内で出会った怪しい中年男性、須賀圭介の元でライターとして働くことになります。

そこには夏美という須賀の兄の娘にあたる甥っ子の女子大生もいました。

(C)2019「天気の子」製作委員

誰かに受け入れられることで東京の生活に馴染んでいく帆高。

ある時、マクドナルドで自分に優しくしてくれた陽菜が怪しい男たちと一緒にいるのを目撃します。

陽菜を少し強引に助け出した帆高は陽菜が「100%の晴れ女」であることを教えてもらいます。

そして生活に困窮する陽菜と一緒に「晴れ女事業」をスタートします。

依頼に応じて「意図的に晴れを作る」仕事は評判で広がり、二人の仕事は軌道に乗ります。

が、実はこの力は使えば使うほど陽菜が透明になり肉体が消えてしまう力でした。

力を使いすぎた陽菜は人柱となり空の世界に連れていかれてしまいます。

陽菜が犠牲になった東京の空は連日の豪雨から開放され清々しい晴天に恵まれます。

(C)2019「天気の子」製作委員

誰も知らない陽菜一人の犠牲に納得がいかない帆高は、彼女を取り戻すため、陽菜が能力を得たという廃ビルに向けて走り出します。

陽菜にもう一度会いたい、その一心で走る帆高ですが、銃の不法所持と家出少年の捜索をしていた警察に行く手を阻まれます。

陽菜を知る須賀や夏美、弟の凪の協力もあり、警察をふりきり廃ビルの屋上にたどり着いた帆高は、鳥居をくぐり空の世界に向かいます。

人々のために犠牲になった陽菜ですが「天気なんて狂ってていいんだ!!」という帆高の叫びに応え、帆高と共に地上に戻ることを決意します。

人柱である陽菜を失った東京は再び大雨にみまわれ、その雨はそれから3年以上たっても止むことがなく、東京は水の下に没してしまいます。

(C)2019「天気の子」製作委員

3年後、事件のあと警察の保護下にあった帆高は、離島での卒業式を終えたその足で、陽菜に会うため再び東京に向かいます。

帆高と陽菜の下した3年前の決断(人柱を拒否することで陽菜は生き返るが雨が止まなくなる)を世間は誰も知りません。

水没した都市に向かって祈る陽菜の姿を観て、その責任をずっと感じていたのは陽菜だったのだと気がついた帆高は、彼女にかけより「僕たちは大丈夫」と優しく声をかけ物語は終幕します。

天気の子の解説|あらゆる物語パターンを無視した映画

天気の子はもちろん映像や音楽も素晴らしいのですが、管理人が思う最もすごいと思ったのは…

ストーリーが全くセオリー通りでないのに、物語が破綻せずに面白い。

この一点につきます。もちろん他にも同じような特徴を持つ作品はありますが、これを夏の興業映画でやったのが驚きです。

世界が調和を取り戻さない

(C)2019「天気の子」製作委員

普通のアニメであれ映画であれ、物語というのは序盤に破壊が起こった場合、後半では調和や再生が行われて物語は終わりを迎えます。

天気の子で言えば東京が雨で水没してしまうので、それを再生する話をラストに持ってきてもいいと思いますが、そういったことは一切しない。

天気の子では最期まで調和は描かれず、世界は狂ったまま物語は終幕します。

しかしそれでも天気の子を観た後、不思議と絶望的な気分にはなりません。むしろ誠実な映画だとさえ管理人は思いました。

例えばもし現実世界で破壊が起こったとしても、ヒーローが現れて一気に救済されるなんてことは無いじゃないですか。

でもアニメだとそれが叶ってしまう。それがエンタメにおけるカタルシス(興奮)なのかもしれないけど、やっぱりどこか誠実でない気がするんです。

もちろん現実を突きつけることだけが誠実というわけでもないと思いますが、天気の子はある意味観客にどこまでも誠実な映画なのではと感じます。

主人公がトラウマで動かない

(C)2019「天気の子」製作委員会

主人公の帆高は離島から家出をして東京にやってきます。

普通のアニメであれば、主人公がどうして行動を起こしたのか、その理由を説明するのに過去の回想が入ったりします。

そして主人公の過去のトラウマが描かれて…主人公を突き動かす理由が説明されたりします。

が、天気の子では「トラウマで動く主人公」を意図的に避け、憧れで突き進む少年少女を描いています。

例えば三浦透子さんが歌う劇中歌「グランドエスケープ」の歌詞にそれが表現されていると新海監督は語っています。

『怖くないわけない でも止まんない ピンチの先回りしたって 僕らじゃしょうがない 僕らの恋が言う 声が言う「行け」と言う』(グランドエスケープ feat. 三浦透子)作詞・作曲 野田洋次郎

帆高も陽菜もそういう少年少女でいてほしかったし、バッテリー切れを気にしないような人たちであってほしいと思いました。〜中略〜 ただ真っ直ぐに走り抜けていく人たちと巡りつくその先を、僕が目撃してみたかったんです。(「天気の子」公式パンフレットより引用)

ケイ

このキャラクター設定は新鮮で気持ちがいいと僕は思うけど、人によっては好みが分かれるかもね!

悪の組織が出てこない

刑事の安井に行く手を阻まれる帆高 (C)2019「天気の子」製作委員

悪の組織が出てこないというのも、いい意味で期待を裏切っている、夏の興業映画らしくないポイントです。

ヒロインの陽菜には天気を操るというとんでもない力があり、劇中ではテレビで陽菜が映し出されて有名人にもなりました。

例えばその力を狙われて陽菜がさらわれるとか、さらわれた陽菜を帆高が救うような展開があっても全くおかしくありません。

しかしそういった「予定調和」の演出は一切ありません。おかげで天気の子のオリジナリティは強まっているように思います。

ケイ

悪の組織(=主人公の行く手を阻むもの)の代わりに警察がその役割を果たしているのかもしれないね!

父親殺しを描かない

(C)2019「天気の子」製作委員

一番ありそうだと思っていたのは「父親殺し」の展開で、「父親殺し」とは要するに「親的な存在を超えていく話」のこと。

例えば育ててくれた師匠的な存在というのは、最初は主人公の味方ですが、最期は乗り超えるべき存在になっていくというのは物語のセオリーです。

天気の子でいえば、須賀が帆高を救ってくれて育ててくれたということで、父親的な存在になりますので、彼と帆高が対立するのかと思っていました。

しかし帆高と須賀は最期まで対立しません(須賀が一般的な常識で帆高を諭すが、あれは対立ではない)むしろ須賀は最期は帆高を助けてくれるのです。

だから結局、帆高は最期は何と戦っていたのか?というと、恐らくそれは社会の大多数の意見、最大多数の最大幸福、もしくは一般常識のような概念だったのだと思います。

天気の子の考察1|天気の子にはどんな希望があるのか

物語のセオリーを排除した「天気の子」にはどんな希望(テーマ)が込められているのか?

管理人が「天気の子」から感じた希望は、世界はコントロールできないけど、まぁそれでも頑張って生きていくしかないよね?という健やかな強さと開き直りです。

(C)2019「天気の子」製作委員

例えば帆高と陽菜は、かなり貧乏な少年少女として描かれています。これは君の名はの主人公たちと比べても明らかです。

「君の名は。」はパンケーキに喜ぶ物語でしたが、天気の子はスナック菓子とインスタント食品に喜ぶ物語なんです。

別に、監督は貧乏を美徳と考えているわけではないと思います。ただ事実として今の日本はどんどん貧しい国になっています。

そしてそれに抗う手段は完全に個人に任せられています。(国や社会が個人を救う機会は減っています)

しかし物語のエピローグ、水没した東京で人々はなんだかんだ頑張って生きている様子が伺えました。

恐らくあのシーンはもっと悲観的に描くこともできたでしょう。しかし監督は敢えてそうしませんでした。

エピローグで須賀が帆高に言う次の台詞にも、新海監督が作品に込めたテーマを代弁しているように感じます。

須賀「世界なんてさーーどうせもともと狂ってんだから」

この台詞は大人の達観や諦観から来るのかもしれません。

けど貧しくなっても街が姿を変えても、私達はなんとか生きていくしかないです。

狂った世界もまずは受け入れることで前に進むことができるというのもまた真実でしょう。

天気の子の考察2|ラストシーンはどう見ればいいのか

(C)2019「天気の子」製作委員

ラストシーン、見方はそれぞれだと思うのですが、あのシーンは劇伴曲「大丈夫」とセットで理解すべき内容だと思います。

なぜかと言うと、小説「天気の子」のあとがきで、ラストシーンは「大丈夫」の歌詞を引き写すようにコンテを作った、という監督の話が載っています。

二ヶ月以上悩み続け、洋次郎さんにラストシーンの音楽の相談をしている時に、ふとまだ使われていないままだった「大丈夫」のことが話題に上がったのだ。そしてあらためてこの曲を聴いて、僕は衝撃を受けた。

ぜんぶここに書いてあるじゃないか。
(小説「天気の子」新海誠 あとがきより引用)

ラストに流れる「大丈夫」という曲は、RADWIMPSの野田さんが天気の子の脚本を最初に読んだ時に監督に感想として送った曲です。

当初この「大丈夫」という曲を聴いた新海監督は「コレを劇中で使うのは難しいな」と思ったそうです。(つまりボツにした)

しかしそれから一年以上が経ち、脚本が最終段階に入ったところで、ラストシーンの演出に悩んでいた監督を助けたのが、最初にボツにした「大丈夫」という曲だった。

帆高は水に沈んだ東京に向かって祈る陽菜の姿を観て、彼女がどんな3年間を過ごしてきたのか一瞬で理解します。

この曲の「世界が君の小さな肩に乗っているのが、僕にだけは見えた」という歌詞がラストシーンで帆高が感じたことなのでしょう。

だから帆高は最期に「僕たちは大丈夫」と陽菜伝え、劇伴曲「大丈夫」の中で「この人の大丈夫に、自分がなりたい」と歌っているのです。

新海誠監督のアニメ動画の配信状況

映画を観て新海監督の過去作品が観たくなった人は次の表を参考にしてみて下さい。

ケイ

登録すると貰えるポイントなどを利用すればレンタル配信されている動画もお得に観ることができます。
作品名
ほしのこえ
雲のむこう、約束の場所
秒速5センチメートル
星を追う子ども
言の葉の庭
彼女と彼女の猫
君の名は。
リンク先 公式サイト 公式サイト 公式サイト

◯:見放題 ▲:レンタル ☓:配信無し

作品名
ほしのこえ
雲のむこう、約束の場所
秒速5センチメートル
星を追う子ども
言の葉の庭
彼女と彼女の猫
君の名は。
リンク先 公式サイト 公式サイト 公式サイト

◯:見放題 ▲:レンタル ☓:配信無し

作品名
ほしのこえ
雲のむこう、約束の場所
秒速5センチメートル
星を追う子ども
言の葉の庭
彼女と彼女の猫
君の名は。
リンク先 公式サイト 公式サイト 公式サイト

◯:見放題 ▲:レンタル ☓:配信無し
※2019年7月27日時点の情報です。配信を保証するものではありません。

映画を観た人は小説「天気の子」もおすすめ

小説「天気の子」には夏美視点の描写が沢山あります。映画を観たあとに小説を読み、もう一度映画を観るのが個人的にはおすすめです。

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