公式HPより引用
(C) 西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト
2009年放送のアニメ『化物語』から始まった
『物語シリーズ』は、今なお人気を集める
アニメシリーズである。
この記事ではまず、
『物語シリーズ』の基本的な
情報を整理し、
本作の面白さの理由について
深堀していきたい。
原作小説の最新情報
『物語シリーズ』とは
西尾維新さん原作の
ライトノベル小説である。
まずはこの原作小説の
発行の順番を整理したい。
原作小説は18年9月現在では
5つのシーズンで構成されている。
<ファーストシーズン>
『化物語』
『傷物語』
『偽物語』
『猫物語(黒)』
<セカンドシーズン>
『猫物語(白)』
『傾物語』
『花物語』
『囮物語』
『鬼物語』
『恋物語』
<ファイナルシーズン>
『憑物語』
『暦物語』
『終物語』
『続・終物語』
<オフシーズン>
『愚物語』
『業物語』
『撫物語』
『結物語』
<モンスターシーズン>
『忍物語』
『宵物語』
※18年9月現在の刊行はここまで。
『余物語』
『扇物語』
『死物語』
ちなみに一番最初の小説
『化物語』が刊行されたのが
2006年なので、そこから
12年が経過している
というのは驚きだ。
アニメ放送の状況
アニメも基本的には
小説の順番に沿って
放送されている。
このうち18年9月の段階で
アニメとして放送されたのは
<ファイナルシーズン>の
『終物語』までである。
そしてアニメ化が決定しているのは
<ファイナルシーズン>の
『続・終物語』までである。
『続・終物語』の公開は18年秋とのことで
今からとても楽しみである。
『物語シリーズ』が面白い理由
ウィットに富んだ会話劇
このアニメの秀逸なところは、
ウィットに富んだ会話劇にある
と言っても過言ではないだろう。
普通、アニメのストーリーを
進める要素というのは
何かの事件が起こるとか
問題が発生するなどである。
そしてそれを乗り越えていく
過程が描かれることで
アニメが進んでいく。
しかし物語シリーズの場合には
既に事件は起こったもの
として描かれる。
そしてどちらかというと
その起こったことを
どのように捉えていくのか
というところに焦点が置かれ
会話が繰り広げられる。
この進行方法は
アニメの表現方法として
とても新しさがあった。
もうすでに
起こってしまったことは
変更できない。
しかし世界の見方を
変えることはできる。
それを会話劇で表現する
というのが、このアニメの
一貫したスタイルのように思う。
哲学的なテーマを
日常会話でライトに描くことで
視聴者を画面の中へ
引っ張り込む力が
このアニメにはある。
デザインの斬新さ
会話劇をメインにすると、
アニメとしての面白みに欠ける
可能性は十分にある。
しかし物語シリーズの
秀逸なところは、
視聴者を飽きさせない
工夫を画面にたくさん
配置しているところだ。
例えば、一見
おかしな姿勢にも見える
キャラクターたちの描き方。
この独特の描き方を
アニメ製作会社のシャフト、
になぞらえてシャフト角、
と呼んでいたりする。
劇中で差し挟まれる
実写の映像は
つい動画を止めて
確認したくなる。
記号のように配置された
背景の建物や公園の遊具は
まるで現代の紙芝居を
見ているようだ。
デザインの斬新さが
会話劇メインの進行を
支えているのは間違いない。
時系列をあえて揃えない
このアニメは
全く親切ではない。
時系列通りに
話を進めてくれないのだ。
しかしこれも物語に
広がりを持たせる
役割を担っている。
物語をより重層的にする
ための装置となっている。
この装置は、古くは映画の
スターウォーズなどでも
使われた方法だ。
スターウォーズシリーズは
エピソード4から始まる。
初めてエピソード4を見た観客は
「宇宙を支配している
ダースベイダーはどこから
やってきたのか?」
という疑問を
勝手に考え始める。
物語が始まった瞬間には
既にいくつかの物語が
終わっている、
というのは
ストーリーに重みを持たせ
視聴者に別世界を
想像させる装置になる。
物語シリーズにも
同じような仕掛けが
より複雑になりながら
多数、配置されている。
まとめ
物語シリーズが面白いのは
視聴者が見る順番と
作中の出来事の順番が
一致していないところだ。
またキャラクターたちの掛け合い、
会話劇によって
ストーリーが進行していく
というところも、
これまでのアニメの
常識を覆したところだろう。
そしてそれらを支える
背景やキャラクターのデザインが
視聴者を今でも引き付ける
要素ではないか。