コードギアス反逆のルルーシュの
地上波放送が終わってから
およそ10年以上の時間が経った。
10年も経てば人は大概のことを
忘れてしまうものだが
コードギアスというアニメは
今尚人気を保ち
人々の記憶に残り続けているらしい。
その証拠に続編の公開も
2019年に予定されている。
コードギアスの人気の秘密とは
いったいどのような部分にあるのだろうか。
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「できない」人たちの物語
私たちは「できなかったこと」に
強烈に共感するようにできている。
コードギアスという物語には
数多くの超能力(ギアス)が登場する。
一見、何でもできる人たちの
話のように見えるが、
それは間違いである。
コードギアスの本質とは
ギアスによって「できないこと」
が浮き彫りになるお話なのである
と私は考える。
例えば主人公のルルーシュは
頭がとても良いが、
運動は全くできない。
また第1期に登場するマオは
人の考えていることを読む
というギアスを使えたが、
人の心の深いところでの愛情を
理解することはできず
それが敗因となった。
大ボス皇帝シャルルは
不老不死の力まで得たが、
息子や娘の心を理解できず敗れた。
コードギアスは
「何でもできる」と思った私たちに
「できなかった」ことを思い出させる物語だ。
「父」という存在を超えていく物語
コードギアスでは
ラスボス的な存在として
物語の終盤まで登場する
皇帝シャルル・ジ・ブリタニア。
彼はルルーシュの
実の父親なのだが、
同時に最強の「妨害者」
として描かれている。
もともと「父」という存在は
子供にとっては
ある意味最初の「壁」である。
私たちはその「実の父親」
を乗り越えていくわけだが、
生きていると「父」は
色んな形に変化して登場する。
「父」的な存在として
私たちの人生に立ちはだかってくる。
それは時に「神」とか「王」とか
「社会のルール」とか「同調圧力」
といった形をとって登場し、
私たちを従わせようとしてくる。
コードギアスは
私たちがかつて乗り越えてきた
(もしくはこれから乗り越えるもの)
を「父」として色んな形で
示してくるのである。
正義や悪とは何か
正義が悪を懲らしめる、
というのは物語の王道だが、
コードギアスは悪とは何か?
を私たちに問いかける。
コードギアスが
これまでのアニメと違ったところは
主人公がヒーローではなく
アンチヒーローだったところである。
ルルーシュは自分の目的達成のためなら
手段を選ばない。
決してヒーローの思想ではない。
ところが敵対するスザクは
まさに正義の塊のような
キャラクターとして描かれている。
この構造の逆転はとても面白い。
また悪の大ボスとして描かれていた
皇帝シャルルも、
シリーズ後半にその真の目的が
明かされる。
彼の真の目的とは
世界の平和だった。
このような
「正義や悪は立場によって変わる」
という世界観が
物語に一段の深みを与えている。
まとめ
今回はより物語の構造的な面から
コードギアスについて考察をしてみた。
コードギアスというアニメが
絶大な人気を獲得したのは
王道のロボットアニメだったからでも
随所に散りばめられた
魅力的なキャラクターたちのおかげでもなく、
(確かにそれらの要素も
人気を獲得した理由ではあるが)
より普遍的なテーマを
見事にストーリーに織り込んだ
ところにあるのではないだろうか。